エアコンの電気代が高い。夏や冬の電気代の明細を見て、そう感じている人は多いのではないでしょうか。
ネットで「エアコン 電気代 節約」と検索すると、フィルター掃除や設定温度の調整といったテクニックが山ほど出てきます。もちろんそれらは有効ですが、根本的な原因を理解しないまま小手先のテクニックを積み重ねても、節電効果は頭打ちになります。
この記事では、1級管工事施工管理技士を保持する現役設備エンジニアが、エアコンの電気代が高くなる根本原因から、すぐできる節電テクニック、逆効果になるNG行動、そしてカタログスペックの正しい読み方まで、現場の知見をもとに伝えます。
読み終えれば、自分のエアコンの電気代を正しく把握し、本当に効果がある節電方法を選べるようになります。
エアコンの電気代が高い根本原因|冷暖房負荷の仕組みを知る

エアコンの電気代は「冷暖房負荷」の大きさでほぼ決まります。冷暖房負荷とは、室内の温度を目標の温度に保つために、エアコンが処理しなければならない熱量のことです。
夏であれば、外の暑さが窓・壁・屋根を通じて室内に侵入してきます。エアコンはこの侵入してくる熱を吸い取って外に捨てています。冬はその逆で、室内の暖かい空気が外に逃げるのを補うために熱を供給しています。
冷暖房負荷が大きくなる要因は主に4つあります。
- 外気温と室温の差が大きい:真夏の35℃の日に26℃設定なら温度差は9℃。外気温が38℃になれば温度差は12℃。温度差が大きいほどエアコンが処理する熱量は増える
- 断熱性能が低い:壁や窓の断熱性能が低いと、外の熱が室内に入りやすい(夏)、室内の熱が逃げやすい(冬)。築年数が古い建物ほど断熱性能は低い傾向がある
- 窓面積が大きい:ガラスは壁に比べて断熱性能が圧倒的に低い。特に日射が直接入る南面・西面の窓は、夏場に大量の熱を室内に持ち込む
- 部屋の広さに対してエアコンの能力が不足:能力が足りないエアコンは常にフル稼働になり、消費電力が最大値に張り付く
ここで重要なのが「定格消費電力」と「実際の消費電力」の違いです。エアコンはインバーター制御で、負荷に応じて消費電力を変えます。冷暖房負荷が小さければ消費電力は下がり、負荷が大きければ上がります。
カタログに載っている消費電力は「定格」、つまり標準的な条件での値にすぎません。外気温が40℃近い猛暑日や、日当たりの良い大きな窓がある部屋では、消費電力は定格を大きく超えます。
COP(成績係数)で考えると電気代の構造がわかる
エアコンの効率を示す指標に「COP(Coefficient of Performance)」があります。COPは「使った電力に対して何倍の冷暖房能力を発揮したか」を表す数値です。
たとえばCOPが5のエアコンは、1kWの電力で5kW分の冷暖房能力を出せます。つまり、エアコンは使った電気の何倍もの熱を移動させています。これはヒートポンプという原理のおかげです。
ただし、COPは運転条件によって大きく変動します。外気温と室温の差が大きくなるほどCOPは下がります。真夏の猛暑日や真冬の極寒日には、カタログ記載のCOPの半分以下まで落ちることも珍しくありません。
電気代が高くなる日は、まさにこのCOPが悪化している日です。外気温が極端に高い(低い)日は、エアコンが同じ冷暖房能力を出すためにより多くの電力を消費します。猛暑日の昼間に電気代が跳ね上がるのは、COPの低下が原因です。

節電のコツは「エアコンの運転方法を変える」ことではなく、「冷暖房負荷そのものを減らす」こと。ここを押さえておくと、どのテクニックが本当に効くかが見えてきます。
すぐできる節電テクニック5選|効果が大きい順に紹介


以下の5つは、今日からすぐに実践できて、電気代への効果も大きい節電方法です。効果が大きい順に並べています。
1. フィルター掃除を2週間に1回行う
フィルターにホコリが詰まると、室内の空気がエアコン内部の熱交換器を通過しにくくなります。すると熱交換の効率が落ち、同じ温度に冷やす(暖める)ためにより多くの電力が必要になります。
環境省の試算では、フィルターを月に1〜2回掃除するだけで冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力削減が期待できるとされています。
掃除方法は簡単で、前面パネルを開けてフィルターを取り外し、掃除機でホコリを吸い取ります。汚れがひどければ水洗いして、完全に乾かしてから戻してください。
「自動お掃除機能」付きのエアコンでも、ダストボックスの清掃は必要です。自動で取ったホコリが溜まる受け皿を放置すると、結局フィルターの目詰まりが起きます。
ペットを飼っている家庭やキッチン近くに設置しているエアコンは、特にフィルターが汚れやすいです。毛や油煙がフィルターに付着すると通常のホコリより取れにくく、掃除機だけでは落ちないことがあります。その場合は中性洗剤を薄めた水で優しく洗い、しっかり乾燥させてから戻してください。濡れたまま装着するとカビの原因になるので注意が必要です。
2. カーテンや遮熱シートで窓からの熱侵入を抑える
窓は建物の断熱における最大の弱点です。夏場の冷房負荷のうち、窓から侵入する日射熱が占める割合は非常に大きいです。
遮熱カーテンや遮光カーテンを閉めるだけで、日射による熱侵入を大幅にカットできます。さらに効果が高いのは窓の外側で日射を遮る方法で、すだれ・シェード・グリーンカーテンなどが有効です。
なぜ「外側」が良いかというと、カーテンは室内側にあるため、ガラスを透過した日射がカーテンに吸収されて室内で熱に変わります。一方、すだれなど外側で遮れば、そもそも日射がガラスに到達しないので、熱侵入を元から断てます。
冬場は逆に、日射を取り込んだほうが暖房負荷が下がります。南面の窓は日中はカーテンを開けて日射を入れ、日没後にカーテンを閉めて保温するのが合理的です。
窓の断熱対策でもうひとつ効果が高いのが、窓ガラスに貼る断熱フィルムです。ホームセンターで数千円程度で購入でき、窓に貼るだけで熱の出入りを抑えられます。特に単板ガラス(1枚ガラス)の窓にはかなりの効果があります。
さらに本格的にやるなら、内窓(二重窓)の設置が断熱効果としては最も大きいです。ただし費用は1窓あたり5〜10万円程度かかるため、まずはカーテンやフィルムなどのコストが低い方法から試すのが現実的です。
3. 設定温度を1℃変えるだけで約10%の節電
環境省が推奨する室温の目安は、冷房28℃・暖房20℃です。ただしこれは「設定温度」ではなく「室温」の目安である点に注意が必要です。
エアコンの温度センサーは室内機の吸込口付近にあるため、部屋の中央や足元の実際の温度とはズレがあります。設定温度28℃でも室温が30℃近いこともあれば、26℃でもまだ暑い場合もあります。
それでも、冷房の設定温度を1℃上げると消費電力は約10%下がり、暖房の設定温度を1℃下げても約10%下がるという目安は、一般論として覚えておいて損はありません。外気温との温度差を1℃でも小さくすることが、冷暖房負荷の直接的な低減につながるからです。
無理に28℃にこだわる必要はありません。体調を崩しては元も子もありません。自分が快適に過ごせる範囲で、1℃ずつ調整するのが現実的です。
4. 風量設定は「自動」が最も省エネ
風量を「弱」に固定している人は多いですが、実は省エネの観点では「自動」が最も効率が良いです。
エアコンは設定温度に到達するまでは大きな出力で素早く冷やし(暖め)、到達後は出力を絞って維持運転に切り替えます。風量を「自動」にしておけば、この制御に連動してファンの回転数が最適化されます。
風量を「弱」に固定すると、設定温度に達するまでの時間が延び、エアコンのコンプレッサーが高出力で長時間回り続けます。ファンの消費電力を節約した分以上に、コンプレッサーの電力が増えてしまいます。
また、サーキュレーターや扇風機を併用すると、室内の空気を撹拌(かくはん)して温度ムラを解消できます。天井付近に溜まった暖かい空気を循環させることで、エアコンの吸込口の温度と実際の室温の差が縮まり、無駄な運転を減らせます。サーキュレーターの消費電力はせいぜい20〜30W。エアコンの消費電力と比べれば微々たるものです。
5. 室外機の周辺環境を整える
エアコンの室外機は、冷房時に室内から吸い取った熱を外気に放出しています。室外機の周辺に物が置かれていたり、直射日光で高温になっていたりすると、放熱効率が悪くなり、消費電力が上がります。
確認すべきポイントは3つです。
- 吹き出し口の前にスペースがあるか:室外機の正面(ファンがある面)から最低でも20cm以上(理想は50cm以上)のスペースを確保する。物を置いたり、壁に密着させたりしない
- 吸込み口が塞がっていないか:室外機の側面や背面からも空気を吸い込んでいる。雑草やカバーで塞がないこと
- 直射日光が当たっていないか:室外機に日除けを設置すると放熱効率が改善する。ただし風の通り道を塞がないように注意
特に注意していただきたいのが、デザイン性の高い「室外機カバー」です。見た目はスッキリしますが、空気の流れを塞いでしまう製品が少なくありません。室外機は正面から排気し、背面や側面から吸気しています。カバーで覆うと排気した熱風を再び吸い込む「ショートサーキット」が起こり、冷房効率が大幅に落ちます。カバーを使うなら、通気性が十分に確保されたルーバー型を選ぶ必要があります。
夏場は室外機周辺の地面に打ち水をするのも地味に効果があります。水が蒸発するときに周辺の温度が下がり、室外機が吸い込む空気の温度が下がるからです。
- フィルター掃除を2週間に1回行う(消費電力4〜6%削減)
- カーテンや遮熱シートで窓からの熱侵入を抑える
- 設定温度を1℃見直す(約10%の節電効果)
- 風量設定は「自動」にする
- 室外機の周辺環境を整える(前方20cm以上のスペース確保)



節電テクニックは「冷暖房負荷を減らす」ものと「エアコンの効率を上げる」ものに分かれます。カーテンや設定温度は負荷を減らす方法、フィルター掃除や室外機まわりの整備は効率を上げる方法。両方やるのが一番効きます。
逆効果になるNG節電3選|やればやるほど電気代が増える


良かれと思ってやっている節電が、実は逆効果になっているケースがあります。特に以下の3つは誤解が根強いです。
1. こまめなON/OFFはかえって電気を食う
「30分の外出でもエアコンを切る」という人は多いが、これは逆効果になりやすいです。
エアコンの消費電力が最も大きいのは、起動直後です。室温が設定温度からかけ離れた状態で起動すると、コンプレッサーが最大出力で回ります。設定温度に達してしまえば維持運転に切り替わり、消費電力は起動時の数分の一まで下がります。
こまめにON/OFFを繰り返すと、この「起動時の大電力」が何度も発生します。一方、つけっぱなしにしておけば、維持運転の低い消費電力が続くだけです。
目安として、30分〜1時間程度の外出であればつけっぱなしのほうが電気代は安い。2時間以上の外出であれば切ったほうが安くなることが多い。ただし、外気温や建物の断熱性能によって分岐点は変わるため、あくまで目安として考えてください。
特に注意したいのが、真夏の昼間に外出して帰宅した時のパターンです。エアコンを切った状態で真夏の部屋を放置すると、室温が40℃を超えることもあります。この状態からエアコンを起動すると、設定温度の26℃まで14℃も下げなければなりません。コンプレッサーは最大出力で回り続け、設定温度に達するまでに30分〜1時間かかります。この間の消費電力は1,500W〜2,000Wに達することもあります。
一方、つけっぱなしにしておけば、外出中も維持運転で300〜500W程度の消費電力が続くだけです。1時間の外出なら、つけっぱなしのほうが安く済むケースが多いです。
2. 風量を「弱」に固定しても節電にならない
先ほどの節電テクニックでも触れましたが、風量「弱」固定は節電どころか電気代を増やす可能性があります。
ファンの消費電力は全体のごく一部(30〜50W程度)であり、電力の大半を消費しているのはコンプレッサーです。「弱」にしてファンの電力を10〜20W節約しても、コンプレッサーの稼働時間が延びてトータルではマイナスになります。
さらに、風量が弱いと室内の温度ムラが大きくなります。エアコンの吸込口付近だけ冷えて、部屋の反対側は暑いままという状態になりやすく、快適性も落ちます。
3. 「除湿のほうが電気代が安い」は機種による
「除湿モードは冷房より電気代が安い」という情報は、半分正しくて半分間違いです。
除湿には大きく分けて2種類の方式があります。
弱冷房除湿:冷房運転を弱めに行い、結露で空気中の水分を取り除く方式。冷房より出力が低いため消費電力は小さいです。
再熱除湿:一度冷やして水分を取った空気を、もう一度暖めてから吹き出す方式。室温を下げずに除湿できますが、冷やしてから暖めるという二重のエネルギーを使うため、冷房運転よりも消費電力が大きくなります。
「除湿のほうが安い」が成り立つのは弱冷房除湿の場合だけです。再熱除湿を搭載した機種(主に上位モデル)で除湿モードを使うと、冷房より電気代が高くなるケースがあります。
自分のエアコンがどちらの方式かは取扱説明書で確認できます。「再熱除湿」「さらっと除湿」「からっと除湿」などの名称が付いていれば再熱除湿方式です。
メーカー別に見ると、ダイキンの「さらら除湿」やパナソニックの一部上位機種には再熱除湿が搭載されています。三菱電機の霧ヶ峰には独自の「セレクトドライ」があり、除湿方式を切り替えられる機種もあります。一方、エントリーモデルやスタンダードモデルのほとんどは弱冷房除湿です。
「除湿で電気代を節約したい」なら、まず自分のエアコンの除湿方式を確認するのが先です。再熱除湿の機種なら、暑い日は素直に冷房モードを使ったほうが電気代は安く済みます。
- 30分〜1時間の外出でエアコンをこまめにON/OFFする
- 風量を「弱」に固定して節電したつもりになる
- 除湿モードが常に冷房より安いと思い込む(再熱除湿は逆に高い)



「節電のつもり」が逆効果になるパターンは意外と多いです。エアコンの仕組みを理解していれば、こうした落とし穴は避けられます。
APF(通年エネルギー消費効率)の正しい読み方|カタログ値だけで判断すると損をする


エアコンの省エネ性能を比較するなら、見るべき数値はAPF(Annual Performance Factor=通年エネルギー消費効率)です。APFはエアコンが1年間に発揮する冷暖房能力を、1年間の消費電力量で割った値で、数値が大きいほど省エネ性能が高い。
ただし、このAPFには落とし穴があります。
APFはJIS規格で決められた一定の条件下で計算されます。その条件は次のとおりです。
- 東京の標準的な気象データを使用
- 木造住宅の南向き和室を想定
- 冷房期間は6月2日〜9月21日、暖房期間は10月28日〜4月14日
- 冷房設定温度27℃、暖房設定温度20℃
- 冷房時外気温度35℃(最大負荷時)
実際の使用環境がこの条件と違えば、当然APFの値も変わります。たとえば北海道や東北のような寒冷地では暖房負荷が大きくなり、実際のAPFはカタログ値より下がります。逆に温暖な地域で冷房中心の使い方なら、カタログ値より良い結果になることもあります。
もうひとつ注意すべきなのが、定格能力とAPFの関係です。APFは定格能力の近辺で運転している時間が長いほど高い値になりやすい。逆に、常にフル運転や極端な低負荷運転を強いられる環境では、カタログ値のAPFを発揮できません。
具体的に言うと、6畳の部屋に14畳用のエアコンを付けた場合、負荷が小さすぎてコンプレッサーが頻繁にON/OFFを繰り返します。この「発停ロス」がAPFを悪化させます。逆に、14畳の部屋に6畳用のエアコンを付ければ、常にフル運転になり、カタログ値のAPFより大幅に悪い効率で動くことになります。
部屋の広さに対して適正な能力のエアコンを選ぶことが、APFを最大限に活かすための前提条件になります。
APFの数値をどう比較すればよいか
エアコンを比較する際は、同じ畳数クラスの中でAPFの高い機種を選ぶのが基本です。ただし、APFが0.3〜0.5程度の差であれば、年間の電気代の差は1,000〜2,000円程度にとどまることが多いです。
APFの差が生み出す年間電気代の差を計算する方法もあります。
同じ2.8kW機で、APF 6.0の機種AとAPF 7.0の機種Bを比較する場合:
・機種Aの期間消費電力量:(冷房+暖房の合計能力) ÷ APF
・機種Bも同様に計算
おおよその目安として、APFが1.0違うと年間電気代に3,000〜5,000円程度の差が出る(2.8kWクラスの場合)。
APFだけでなく、「最小能力」にも注目してください。最新の上位モデルは最小冷房能力が0.3〜0.5kW程度まで絞れるものがあり、軽い負荷のときにコンプレッサーを止めずに超低速で回し続けることで、発停ロスを避けています。この「低負荷時の効率」がAPFの数値には表れにくいが、実使用では大きな差になります。
エアコンのカタログに書かれている「6畳用」「10畳用」という畳数表記は、1964年(昭和39年)に制定された基準がベースになっています。当時は断熱材が入っていない住宅が前提だったため、現在の高断熱住宅に当てはめると能力が過剰になりやすいです。
また、カタログには「木造和室6畳〜鉄筋洋室9畳」のように二段表記されています。「6〜9畳」ではなく「木造なら6畳・鉄筋なら9畳」という意味です。この読み方を間違えると、必要以上に大きなエアコンを買ってしまい、初期費用も電気代も無駄になります。
- 同じ畳数クラスの中でAPFを比較する
- APF差が0.3〜0.5程度なら年間電気代の差は1,000〜2,000円程度
- APFだけでなく「最小能力」もチェックする(低負荷時の効率に差が出る)
- カタログ値のAPFはあくまで参考値。自宅の環境で変わる



APFは「同じ畳数クラスのエアコン同士を比較する指標」としては有効。ただし、自分の家での実際の省エネ性能とは別物だと割り切って使うのが正解です。
買い替えで電気代はどれだけ下がるか|10年前のエアコンとの差を検証


10年以上前のエアコンを使い続けているなら、買い替えるだけで電気代が20〜40%下がる可能性があります。
なぜこれほど差が出るのかを、具体的な数値で見てみましょう。
たとえば、2014年製の2.8kWクラス(10畳用)標準モデルと、2024年製の同クラス最新モデルを比較した場合を考えます。
| 項目 | 2014年モデル | 2024年モデル |
|---|---|---|
| 冷房消費電力(定格) | 800W | 630W |
| 暖房消費電力(定格) | 870W | 680W |
| APF | 5.8 | 7.2 |
| 期間消費電力量 | 950kWh/年 | 770kWh/年 |
| 年間電気代(31円/kWhで計算) | 約29,450円 | 約23,870円 |
この例では年間で約5,500円、10年間で約55,000円の差になります。エアコンの一般的な耐用年数は10〜15年なので、10年前のモデルから買い替えれば、電気代の差額だけで本体代のかなりの部分を回収できる計算です。
なぜ新しいモデルのほうが省エネなのか
10年間で省エネ性能が向上した理由は、主に以下の技術進化によるものです。
- コンプレッサーの効率向上:モーターの巻線やマグネットの素材が進化し、同じ冷暖房能力をより少ない電力で出せるようになった
- 熱交換器の大型化・最適化:フィンの形状や配管配列が改良され、少ない冷媒流量で効率的に熱交換できるようになった
- インバーター制御の高精度化:負荷の変動に対するコンプレッサーの回転数制御がより緻密になり、無駄な過剰運転が減った
- センサーとAI制御:人感センサーや日射センサーで部屋の状況を検知し、必要な箇所だけに気流を届ける制御が進化した
特にインバーター制御の進化は大きい。10年前のモデルは設定温度に達すると「コンプレッサー停止→室温上昇→再起動」を繰り返すことが多かったが、最新モデルはコンプレッサーを極低速で回し続けて室温を安定させる。この「止めない制御」が消費電力を大幅に削減しています。
買い替え判断のポイント
ただし、買い替え判断にはいくつか注意点があります。
- 上位モデルほど省エネ性能は高いが、本体価格との兼ね合いが必要:最上位モデルと中位モデルのAPFの差が0.5程度なら、電気代の差額は年間数千円。10万円以上の価格差をペイするには20年以上かかる
- 使用頻度が少ない部屋は買い替え効果が小さい:年に数回しか使わない客間のエアコンなら、電気代の差額は微々たるもの。壊れるまで使い続けるほうが経済的です
- 同じ畳数表示でも実際の能力範囲は異なる:最新モデルは最小能力が低くなっており、低負荷時の省エネ性能が大幅に改善している。軽い負荷のときに無駄な電力を使わない設計になっている



10年以上使っているエアコンなら、冷えが悪い・暖まりが遅いと感じた時点で買い替えを検討する価値があります。省エネ性能の向上分で電気代は確実に下がります。
自分のエアコンの年間電気代を計算してみよう


自分のエアコンの電気代は「期間消費電力量」と「電力単価」の2つがわかれば簡単に計算できます。
計算式はこれだけです。
期間消費電力量の調べ方
期間消費電力量は、エアコンが1年間に消費する電力量の目安です。以下の方法で確認できます。
- 本体の銘板:室内機の側面や下面に貼られたシールに記載されていることがある
- 取扱説明書:仕様表のページに記載
- メーカーのWebサイト:型番で検索すれば仕様が出てくる
- 統一省エネラベル:量販店で貼られている緑色のラベルに記載
「期間消費電力量」という項目名で、単位は「kWh」で記載されています。
電力単価の調べ方
電力単価は電力会社や契約プランによって異なります。正確な単価を知りたい場合は、電気料金の明細書(検針票やWeb明細)に記載されている「1kWhあたりの料金」を確認してください。
ざっくりした目安でよければ、2026年時点の全国平均は約31円/kWh前後です。再エネ賦課金や燃料費調整額を含めると、実際にはもう少し高くなるケースが多いです。
計算の具体例
期間消費電力量が850kWh、電力単価が31円/kWhの場合。
850kWh × 31円 = 26,350円/年
月あたりに換算すると約2,196円。ただし実際には夏と冬に集中するため、7〜9月と12〜2月は月4,000〜6,000円、春秋はほぼ0円というイメージです。
畳数クラス別の年間電気代の目安
「自分のエアコンの型番がわからない」という人のために、畳数クラス別のざっくりとした年間電気代の目安を表にまとめました。2020年代の標準的なモデルを想定した参考値です。
| 畳数クラス | 期間消費電力量(目安) | 年間電気代(31円/kWh) |
|---|---|---|
| 6畳(2.2kW) | 600〜750kWh | 約18,600〜23,250円 |
| 8畳(2.5kW) | 700〜850kWh | 約21,700〜26,350円 |
| 10畳(2.8kW) | 750〜950kWh | 約23,250〜29,450円 |
| 14畳(4.0kW) | 1,100〜1,400kWh | 約34,100〜43,400円 |
| 20畳(6.3kW) | 1,800〜2,200kWh | 約55,800〜68,200円 |
この表を見ると、畳数クラスが上がるほど電気代が急激に増えることがわかります。特に14畳以上のモデルは暖房時の消費電力が大きく、冬場の電気代が夏場を上回ることも珍しくありません。
もっと正確に知りたい場合は、ワットチェッカー(コンセントに差し込んで消費電力を測定する機器)を使う方法もあります。1,500〜3,000円程度で購入でき、エアコンだけでなく他の家電の消費電力も測れるので、家全体の電気代の内訳を把握したい人にはおすすめです。
なお、上記の表はあくまで「標準的な使い方」での目安です。北海道のように暖房時間が長い地域や、沖縄のように冷房時間が長い地域では、この目安より大幅に増えることがあります。逆に、高断熱住宅で冷暖房負荷が小さい場合は、この目安より少なくなります。



「高いかどうか」を判断するには、まず自分のエアコンの電気代を数字で把握すること。計算は掛け算1回でできるので、ぜひ自分の機種で試してみてください。
まとめ|節電は「仕組みの理解」から始まる


エアコンの電気代を下げるために覚えておくべきポイントをまとめます。
- 電気代は「冷暖房負荷」の大きさで決まる。外気温との温度差、断熱性能、窓面積が主な要因
- フィルター掃除、カーテン活用、設定温度の調整、風量「自動」、室外機周りの整備がすぐできる節電テクニック
- こまめなON/OFF、風量「弱」固定、除湿モードへの過信は逆効果になりうる
- APFはあくまで比較指標。カタログ値がそのまま自分の家の実測値にはならない
- 10年以上前のエアコンなら買い替え検討の価値あり。省エネ性能は大幅に向上している
- 自分の電気代は「期間消費電力量×電力単価」で計算可能。まずは現状を数字で把握する
小手先のテクニックだけで節電しようとすると、効果は限定的です。エアコンの電気代を本気で下げたいなら、「なぜ電気代が高くなるのか」という仕組みから理解するのが結局は近道になります。
エアコンの効きが悪いと感じているなら、能力不足やフィルター汚れ以外にも原因がある可能性があります。冷えない原因を体系的にまとめた記事も参考にしてください。



節電で一番大事なのは、自分のエアコンの電気代を「なんとなく高い」から「年間○○円」に変えること。数字がわかれば、対策の優先順位もおのずと見えてきます。
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