梅雨どき、湿気をとろうと除湿をつけたら部屋が寒くなって、子どもに上着を着せた…。
そんな経験から「再熱除湿」という言葉にたどり着いた方も多いはずです。
でも、機種ごとに除湿の呼び名がバラバラで、どれが本物の再熱除湿なのか、予算内で買えるのか、迷いますよね。まず結論からお伝えします。
この記事を書いているのは、空調設備を仕事で扱う設備エンジニア(1級管工事施工管理技士・建築設備士)です。カタログの言葉に振り回されず、予算と用途で選べるように整理します。

この記事を書いた人
設備エンジニア
業務用空調の設計に携わる現役の設備エンジニア。メーカーのカタログでは分からない「本当の選び方」を、プロの視点で分解して発信しています。
保有資格:建築設備士/1級管工事施工管理技士/1級電気工事施工管理技士 ほか
再熱除湿とは?弱冷房除湿との違い


そもそも「再熱除湿」って、普通の除湿と何が違うの?



ひとことで言うと「冷やして湿気をとったあと、温め直してから風を出す」除湿です。だから部屋が寒くなりにくいんですよ。
エアコンの除湿は、空気を冷やすと水分(湿気)が水滴に変わる性質を使っています。冷やせば湿気はとれますが、そのまま風を出すと冷たい風になって寒く感じます。
再熱除湿は、冷やして湿気をとった空気を、室内機の中でもう一度温め直してから送り出します。キンキンに冷えた冷たいおしぼりを軽く温めてから渡すイメージです。だから室温を下げずに湿度だけ下げられます。
家庭用エアコンの除湿は、大きく次の3方式に分かれます。
日立の公式FAQでも、再熱除湿は「暖めて適温に調整して送風するため、寒くなりません」、弱冷房方式は「そのまま送風するため、冷たい空気が出て肌寒さを感じることがあります」と説明されています。



「弱冷房除湿=寒くなりやすい」「再熱除湿=寒くなりにくい」。まずこの違いだけ押さえればOKです。
再熱除湿が必要な人・不要な人





寒くならないなら再熱除湿一択かな?でも高いって聞くし、うちに本当に要るのかな…。



いい迷い方です。実は全員に必要なわけではないんですよ。向く人・向かない人を分けてみましょう。
再熱除湿は「寒くならない」という価値のために、価格も電気代も上がります。梅雨や秋の湿気対策を重視するかどうかが、要・不要の分かれ目です。



「梅雨に寒くなるのが嫌」なら再熱除湿。そこが気にならないなら、代替方式で十分なことも多いですよ。
本物の再熱除湿の見分け方





「さらっと除湿」とか「快適除湿」とか、名前が違いすぎて、どれが再熱除湿か全然わからない!



そこが一番の落とし穴なんです。名前では判断できません。次の3か所を順番に確認すれば見分けられますよ。
メーカーごとに除湿の呼び名がバラバラで、名前だけでは方式を判別できません。次の3点を確認しましょう。
日立の公式FAQでも、再熱除湿か弱冷房方式かは「カタログで確認する方法」「リモコンで確認する方法」で見分けられると案内されています。
価格.comなどの機能欄だけで方式を確定するのは避けてください。表記のもとになった情報が古かったり、方式名が実態と合っていないことがあるためです。
独自の名前しか書かれておらず判断できないときは、型番を伝えてメーカーに直接問い合わせるのが確実です。
特に間違えやすいのが、次の2つです。名前が「除湿がすごそう」なので再熱除湿と思われがちですが、メーカー公式が「再熱除湿ではない」と明記しています。
また、同じメーカーでも、上位機ほど再熱除湿とは限りません。
たとえば三菱電機は、再熱除湿にあたる「さらっと除湿冷房」はZシリーズの機能で、最上位のFZシリーズの「プレミアム除湿」などは再熱除湿ではないと公式が説明しています。「高い機種=再熱除湿」という思い込みは禁物です。



ポイントは「再熱除湿」と公式に記載されているかどうか。すごそうな除湿名でも、再熱除湿とは限らないんです。
現行の搭載メーカーとおすすめ機種【2026年】





じゃあ、いま本当に再熱除湿が買える機種を教えて!



公式で「再熱除湿」と確認できた現行シリーズを4つに絞りました。名前ではなく、公式の裏取りで選んでいます。
下の表は、メーカー公式で再熱除湿の搭載を確認できた「本物の再熱除湿」機です。このあと紹介する代替方式とは分けて見てください。
| メーカー/シリーズ | 除湿の呼び名 | 特徴(公式) |
|---|---|---|
| 三菱電機 霧ヶ峰 Zシリーズ(MSZ-ZW型) | さらっと除湿冷房 | 再熱除湿。湿度40〜70%を10%刻みで設定 |
| 日立 白くまくん Xシリーズ(RAS-X型) | カラッと除湿 | 再熱方式。湿度40〜60%を5%刻みで設定 |
| 富士通ゼネラル ノクリアX(AS-X型・2025年モデルで公式確認) | 再熱除湿 | 冷房と再熱除湿を自動で切替(9.0kW除く) |
| コロナ リララ Wシリーズ(CSH-W型) | 再熱除湿+涼除湿 | 2方式を選べる。価格控えめで狙いやすい |
三菱Z・日立X・富士通ゼネラルXの各上位機は省エネ性能も高く、そのぶん価格も上がります。
コロナ リララWシリーズは暖房に強く価格が控えめで、再熱除湿を手頃に狙いやすいのが特徴です。予算15万円くらいまで見られるなら、コロナWのように「本物の再熱除湿」を選ぶ道も十分に現実的です。
定番の上位機で選ぶなら|三菱電機 霧ヶ峰 Zシリーズ(MSZ-ZW型)
霧ヶ峰Zシリーズの「さらっと除湿冷房」は、メーカー公式で再熱除湿と確認できた定番の上位モデルです。
- 除湿の呼び名:さらっと除湿冷房(再熱除湿)
- 湿度設定:40〜70%を10%刻みで設定可能
- モデル:MSZ-ZW2226-W(2026年モデル・おもに6畳用・100V)
- 実売価格:約28.3万円(2026年7月時点・楽天の一例)
省エネ性能も高いぶん価格は上がります。「長く使う1台にしっかり投資したい」という方向けです。
きめ細かい湿度設定なら|日立 白くまくん Xシリーズ(RAS-X型)
日立の「カラッと除湿」は再熱方式で、湿度40〜60%を5%刻みで細かく設定できるのが強みです。
- 除湿の呼び名:カラッと除湿(再熱方式)
- 湿度設定:40〜60%を5%刻みで設定可能
- モデル:RAS-XJ22R-W(2024年モデル・「RAS-X22R同等品」と明記・おもに6畳用)
- 実売価格:約12.7万円(2026年7月時点・楽天の一例)
リンク先は、量販モデルX22Rの同等品と明記されたXJ型番です。同じカラッと除湿を、比較的手頃な価格帯で狙えます。
切替おまかせでラクしたいなら|富士通ゼネラル ノクリアX(AS-X型)
ノクリアXは冷房と再熱除湿を自動で切り替える(9.0kWクラスを除く)のが特徴で、モード選びに悩みたくない人に向いています。
- 除湿の呼び名:再熱除湿(2025年モデルで公式確認)
- 特徴:冷房と再熱除湿を自動で切替(9.0kW除く)
- モデル:AS-X402M2-W(2022年モデル・おもに14畳用・単相200V)
- 実売価格:約19.3万円(2026年7月時点・楽天の一例)
リンク先は広めのリビング向けの14畳クラスです。畳数と電源(単相200V)は、お部屋の条件に合わせて選んでください。
価格を抑えて「本物」を狙うなら|コロナ リララ Wシリーズ(CSH-W型)
コロナのリララWは再熱除湿と涼除湿の2方式を選べて、価格が控えめ。本物の再熱除湿をいちばん手頃に狙えるシリーズです。
- 除湿の呼び名:再熱除湿+涼除湿(2方式を選択可能)
- モデル:CSH-W2225R-W(2025年モデル・おもに6畳用・配送のみ/設置工事なし)
- 実売価格:約9.6万円(2026年7月時点・楽天の一例)
6畳クラスなら10万円を切る例もあり、「予算15万円まで」で本物の再熱除湿を狙う人の現実的な第一候補です。



「本物の再熱除湿」で選ぶなら、この4シリーズが軸になります。予算とあわせて、次のメリット・デメリットも見て判断しましょう。
再熱除湿のメリット・デメリット



寒くならないのは魅力だけど、デメリットもちゃんと知っておきたいな。



大事な視点です。デメリットも正直にお伝えしますね。
冷房・弱冷房除湿との電気代の違い



気になる電気代!再熱除湿って、冷房の何倍くらいかかるの?



実は「何倍」と言い切れる公式の数字はないんです。ただ、高い順・安い順の関係ははっきりしていますよ。
電気代の関係は、日立の公式FAQで次のように説明されています。
安い順に「弱冷房除湿 < 冷房 < 再熱除湿」です。再熱除湿は空気を温め直す分、冷房より「若干」電気代がかかる、という表現になっています。
「再熱除湿は冷房の◯倍」といった一律の倍率は、メーカー公式では示されていません。消費電力は機種や使う条件で変わるためです。
具体的な倍率を書いているサイトを見ても、対象機種や試験条件が書かれていなければ鵜呑みにしないのが安全です。
エアコン全体の電気代を抑えるコツは、こちらの記事でまとめています。





「再熱除湿はいちばん電気を使う除湿」とだけ覚えればOK。倍率の数字は条件次第なので、うのみにしないでくださいね。
6畳・10畳・14畳など能力選定の注意



うちのリビングは、カタログの「◯畳」で選べばいいんだよね?



そこは少し注意が必要です。カタログの畳数は、実はかなり古い基準がもとになっているんですよ。
カタログの「◯畳用」は、冷暖房の能力(kW)を目安にした表示で、除湿量を直接示したものではありません。「木造6畳/鉄筋9畳」といった二段表記は、断熱の考え方が今と違う古い基準がもとになっているため、実際の部屋の断熱・日当たりによってはワンサイズ上が快適なこともあります。
とくに除湿性能を重視するなら、部屋がやや広めでも余裕をもった能力を選ぶと、湿度が下がりきらない失敗を避けやすくなります。ただし、畳数と除湿量を直接ひもづけた公式の一覧表は、各社とも整備が限られます。迷ったら、販売店やメーカーに「除湿を重視したい」と相談するのが確実です。畳数選定と新しい省エネ基準の関係は、こちらの記事も参考になります。


10万円以下で選べる代替方式





本物の再熱除湿は予算オーバーかも…。寒くなりすぎない除湿って、もっと手頃な機種にはないの?



あります。再熱除湿ではないけれど、室温を下げすぎない工夫をした除湿はいくつかあるんですよ。
再熱除湿でなくても、室温の下がりすぎを抑える「除湿の考え方」はあります。下の表は再熱除湿ではない代替の制御です。前のおすすめ表(本物の再熱除湿)とは別物として見てください。
| 方式(呼び名) | 考え方 | 再熱除湿か |
|---|---|---|
| パナソニック「快適除湿(パーシャル制御)」 | 熱交換器の一部だけで、ごく弱く除湿し室温を下げすぎない | いいえ(公式明記) |
| ダイキン「さらら除湿(リニアハイブリッド)」 | 状況に応じて除湿のやり方を切り替える | いいえ(公式明記) |
| 各社標準の弱冷房除湿+設定調整 | 設定温度を高めにして冷えすぎを抑える | いいえ |
これらは再熱除湿ではありません。ただし注意したいのは、パナソニックの快適除湿(パーシャル制御)やダイキンのさらら除湿は、上位機に搭載されることが多く、必ずしも10万円以下で買えるとは限らない点です。
そこで、本体10万円前後で現実的に選びやすいのは次の2つです。「真夏の冷房が主役で、梅雨の除湿は寒くなりすぎなければいい」という使い方なら、十分な選択肢になります。
予算を優先するなら、まずこの2つから候補を広げるのがおすすめです。
筆者が10万円以下候補として選んだ機種(CS-364DEX-W)





ちなみに、書いてる人は実際どれを選んだの?



本体10万円以下の候補として、パナソニックのCS-364DEX-Wを選びました。ただし、これは再熱除湿ではありません。そこは正直にお伝えします。
筆者は本体10万円以下の候補として、パナソニックのCS-364DEX-W(2024年型)を選びました。この機種は「快適除湿(パーシャル制御)」で、再熱除湿ではありません。パナソニック公式のスペックでも、除湿方式は快適除湿・冷房除湿で、再熱除湿の記載はありません。
選んだ理由は、6畳+6畳を1台でまかなう戸建ての既設交換で、除湿性能を優先しつつ本体価格を10万円以下に抑えたかったためです。「梅雨の寒くなりすぎを完全にゼロにする」より、「価格と除湿のバランス」を取った選択です。
この機種はまだ設置前のため、除湿の効き・静音性・2部屋への効き方は体験していません。設置後に、実際の使用感を追記します。



「再熱除湿が絶対に必要」ではない人には、こういう快適除湿系も現実的な選択肢です。要不要を見極めれば、予算内で納得の1台が見つかりますよ。
高気密高断熱住宅・寝室・湿度戻りとの相性



うちは築浅の戸建てなんだけど、家のつくりによって再熱除湿の効果って変わるの?



変わります。設備の目線でいうと、高気密高断熱の家や寝室ほど、再熱除湿の「寒くしない」価値が効いてきます。
築浅の高気密高断熱住宅は、外の暑さ寒さが伝わりにくく、冷房で一度冷えると温度が戻りにくい傾向があります。そういう家で弱冷房除湿を使うと、湿気はとれても部屋が冷えすぎてしまうことがあります。再熱除湿なら室温を保てるので、相性が良い方式です。
寝室も同じで、就寝中に冷えすぎると体調を崩しやすいため、寒くならない除湿の価値が出ます。一方で、除湿を止めると湿度がまた上がる「湿度戻り」は、どの方式でも起こります。こまめにオンオフするより、設定湿度で連続運転するほうが安定しやすい点も覚えておくと役立ちます。



「築浅・高断熱・寝室で使う」なら再熱除湿の価値は高め。逆に、風通しがよく冷房中心の部屋なら、代替方式でも困りにくいですよ。
再熱除湿エアコンに関するよくある質問
- 再熱除湿と弱冷房除湿は何が違いますか?
-
再熱除湿は、冷やして除湿した空気を温め直してから送るため、室温が下がりにくい方式です。弱冷房除湿は弱い冷房で除湿するため、冷たい風で部屋が冷えやすくなります。日立の公式FAQでも、この違いが説明されています。
- ダイキンやパナソニックは再熱除湿ですか?
-
いいえ。ダイキンの「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」と、パナソニックの「快適除湿(パーシャル制御)」は、どちらもメーカー公式が「再熱除湿方式ではない」と明記しています。寒くなりにくい制御ですが、再熱除湿とは別の方式です。
- 再熱除湿は電気代が高いですか?
-
空気を温め直す分、冷房や弱冷房除湿より電気代が高くなる傾向があります。日立の公式FAQでは、安い順に「弱冷房除湿<冷房<再熱除湿」とされています。ただし「何倍」といった一律の公式数値はなく、機種や使う条件で変わります。
- 自分のエアコンが再熱除湿か確認する方法は?
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メーカー公式の仕様表や機能ページ、カタログの除湿方式欄、リモコン・取扱説明書の除湿モード名の3か所で確認します。独自の名前しか書かれておらず判断できないときは、型番を伝えてメーカーに問い合わせるのが確実です。価格比較サイトの機能欄だけで確定しないようにしましょう。
- 再熱除湿は最近減ったと聞きましたが本当ですか?
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普及機での搭載が以前より限られているのは事実ですが、「なぜ減ったか」の理由をメーカーが公式に明言した情報は確認できていません。省エネ基準(APF)を重視する流れが背景にあると言われますが、断定は避けるべきです。現在も三菱・日立・富士通ゼネラル・コロナの一部シリーズには搭載されています。
- 予算10万円以下で再熱除湿は選べますか?
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再熱除湿は上位機に多く価格が高めですが、コロナ リララWシリーズのように価格が控えめで再熱除湿を搭載する機種もあります(実売価格は都度確認が必要です)。予算を優先するなら、再熱除湿にこだわらず、快適除湿やハイブリッドなどの代替方式まで候補を広げるのも有効です。
まとめ|再熱除湿は「寒くしたくない人」の選択肢


最後に、この記事のポイントを整理します。



名前に惑わされてたけど、「要不要」と「公式で見分ける」がわかったら、予算内で選べそう!



その考え方なら失敗しません。寒くしたくないなら本物の再熱除湿、バランス重視なら代替方式。ご家庭に合った1台を選んでくださいね。
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